聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


「ったく、油断も隙もねーな。」


夏樹はそう言うと、美桜と菜々の方へ歩み寄ってきた。


「まぁ、こんだけ可愛かったらナンパしたくなるのもわかるけどな。」


夏樹が美桜を見下ろして、恥ずかしげもなく褒める。


「か、かわ…」


ボンッと音がしたのではないか、と思うほど真っ赤になった美桜の手を、夏樹は人目も気にせず握った。


「んじゃ、さっそくスライダーいきますか!」


夏樹は真っ赤になった美桜の手を引いたまま、菜々達を振り返ってそう言った。


「おう!行こーぜ。」


矢嶋がそう返す。そして菜々にも「行こっか」と声を掛けてくれたので、2人並んでスライダーの方へ向かって歩いた。


歩いている途中、矢嶋の方から先に口を開いた。

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