聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「橋本ちゃん、あのスライダー行けそう?怖くない?」
まだ火照っている顔をパタパタと手で扇ぎながら、美桜は矢嶋の視線の先を見た。
高さ10メートルくらいはあるだろうか。
高いデッキから真っ直具伸びたスライダーは、菜々達が歩いている横にあるプールに続いている。
「んー、ちょっと怖いくらいなら大丈夫なんですけどねー。どのくらい速いんでしょうか?」
「んー…あ、あのくらい。」
博孝が指差した先では、スライダーで滑り降りてきた男女が、ボートに乗って水しぶきをあげながら徐々にスピードを落としている。
二人とも、大笑いして楽しそうだ。