聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「はい、ではこの持ち手をしっかり握ってくださいね。行きますよー?」
菜々は慌てて両脇の持ち手を握った。
「3、2、1…いってらっしゃーいっ!」
スタッフが後ろからボートを押したかと思うと、ほぼ垂直にボートが降下していった。
「きゃーー!」
「高っ!」
菜々と矢嶋の声が重なった数秒後、2人は水しぶきを上げながら地上のプールに辿り着いた。
美桜と夏樹が、プール脇で2人を待っている。
菜々と矢嶋は、怖さから来た笑い声を上げながら、美桜達の方へ歩いていった。