聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
一方の相良は菜々の指の状態を見ながら真剣な表情だ。
「んー、変に曲がってはないから骨折ではないと思うけど、自信ないな。」
そんな話をしていると、サッカー部の部員が追加で2、3人駆け寄ってきた。
「当たった?当たったよな?ボールあんな跳ね上がってたし。」
「申し訳ない!俺達が止めるべきだったのに…」
口々にそう話すサッカー部員達は、なかなかのイケメン揃いだ。
袖で汗を拭く姿すら、キラキラして見える。
――ななちん、ごめん。ちょっとだけ眼福…。
美桜が思わずサッカー部員に見惚れている間も、相良は菜々の手を労るようにして握っていた。
「先輩、俺、とりあえず橋本を保健室に連れて行ってきます!!」
相良が追加できた部員にそう言うと「おぉ、そうしてやって」と返事が返ってきた。
「あ、ごめん、工藤もよかったら一緒にいい?」
「…え?あぁ、うん!いいよ。」