聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
9 後悔しない選択
サッカー部の合宿1日目。
観光用の大きなバスが2台、学校の駐車スペースに停車している。
菜々はそのバスに、神崎や他の部員と一緒に荷物の積み込みをしていた。
このバスに乗り合わせで、合宿施設のある山まで向かう。
「橋本、頑張りすぎ。」
菜々の両手から崩れ落ちそうな程、積みあがった荷物の半分をヒョイと持ち上げたのは――
「相良君!ありがとう。」
菜々がホッとして相良を見上げた。
相良は心配そうな表情だ。
「橋本、また気負い過ぎてない?あんまりスタートから気合入れてると、あっちに着いてからがキツイぞ。ほら、ペース配分って大事だろ?」
「そうだね!ありがとう。気を付けるよ。」
菜々がえへへ、と笑いながら反省すると、相良が安心したような表情で笑って言った。
「ま、張り切るのも分かるけどな!楽しみだな。」