聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


キラキラして見えるサッカー部員に見惚れていた美桜が、慌ててそう返事をすると、相良は「悪いな」と言って菜々の手を握ったまま、保健室に向かって歩き出した。


菜々を見ると、顔が真っ赤だ。


――くぅ、ななちん、可愛いすぎだぞ。


そう心の中で呟きながら、美桜は菜々達に付き添って保健室へ向かう。


途中、目線を感じたので見てみると、さっきの女子集団がこちらを見ていた。


中には、睨みつけているように見える女子もいる。


手を引かれて相良に連れられている菜々を羨ましく思っているのだろう。


――相良君が相手なだけに、大注目だな…。見なかったことにしよう。


美桜はそのまま視線を進行方向へ戻し、菜々と相良について保健室へ向かった。

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