聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!

「おい、相良ー!釣りしないのー?」


遠くから数名の部員が、手を振ってこちらを見ていた。


「はい!今行きまーす」


相良はそう言うと、菜々に「橋本もしよーぜ!」と満面の笑顔で声をかけ、釣りの準備をしている部員達の方へ、駆けていった。


相良の他に、福井も釣りが趣味なようで、先に他の部員に仕掛けの付け方を教えていた。


「お!橋本もするの?」


福井に声を掛けられ、菜々はコクコクと頷いた。


「じゃあ、俺が教えるよ!こっち来て。」


そういうと、福井は少し離れたところへ菜々を案内する。


「餌は橋本だけ特別にこれ。」


そう言って福井は、魚肉ソーセージを取り出す。


「へえ、魚肉ソーセージで釣りってできるんだね!」


菜々は感心しながら、福井が餌を釣り針に付けている様子を眺めていた。

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