聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
10 本音
8月になった。
インターハイの結果は、準決勝敗退。
残念な結果ではあったが、菜々達のサッカー部はベスト8に名を連ねた。
キャプテンは、2年の望月に交代となり、新体制で新たなスタートを切ったある日。
練習後の片付けを終えた菜々は、最後に部室の掃除をしようと、部室のある建屋に向かっていた。
サッカー部の部室が近づいた、その時。
「橋本ちゃんってさー…」
――え!?私?
部室の中から聞こえてきた話の中に、自分の名前が出てきた。
菜々は思わずドアの前で立ち止まる。
「あんまりしゃべんないけどさ、笑った顔とかいいよな。」
「俺も思う!かわいいよなー。」
「彼氏いんのかな?な、相良?」
「なんで俺に聞くんすか。」
――え、相良君もいるの?
急に心拍数が上がってきた。
――相良君、私のことどう思ってくれてるんだろ。
部室内では、話がどんどん進んでいく。