聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「だってさー、相良が1番、橋本ちゃんと話してるし。もしかして、こっそり付き合ってたりしてー?」
「確かに、付き合ってるんじゃないかって噂も、俺聞いたことある!」
「な?正直なとこ、どうよ?付き合ってないとしても、相良は橋本ちゃんのこと、好きなんじゃないの?」
核心に迫る質問に、思わず菜々も息を飲んだ。
すると――
「やめましょうよ、そうやって冷やかすみたいなの。橋本、せっかく快くマネージャー引き受けて頑張ってくれてるんですから。」
ドクン
心臓が跳ね上がった。頭の中にまでドクドクと響いてくる。
――そうだ。相良君は、私にマネージャーになって欲しかっただけで、いつも気にかけてくれてるのも、純粋に私の頑張りを認めて、応援してくれてるからなんだ。
一瞬でも、相良が好意を抱いてくれているかも、なんて期待した自分がバカだった。
部室内も一瞬、しんと静まり返る。