聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
11 涙。
花火大会当日。
菜々は美桜の家に来て、一緒に着付けをしていた。
美桜の母親に手伝ってもらいながら、浴衣を身に着けた菜々と美桜は、化粧とヘアアレンジをしているところだ。
「美桜ちゃん、私、変じゃないかな?」
「ぜーんぜん!かわいいよー!」
「そ、そう?」
慣れない化粧をして、ちょっと落ち着かない。
美桜は母親に髪のセットをしてもらっている。
「はい!かんせーい!2人共、いい感じよ〜」
美桜の母親が、堪らないといった感じで親指を立てて嬉しそうにしている。
「これで夏樹君も、美桜に惚れ直すわね!!」
「もー、お母さん、そういうのやめて!恥ずかしいからっ」
そんな2人のやり取りを、菜々は微笑みながら見つめていた。