聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


いつも考え込んで自分の意志で行動できない自分。


意見もはっきり言えず、流されっぱなしな自分。


対して相良は、先輩相手に遠慮なくボールを取りに行く。


部室で、菜々のことが話題になった時も、先輩達にはっきりと意見し、菜々を擁護してくれた。


イケメンだけど、気取らず、正直で真っ直ぐ。


そんな相良は、雰囲気も性格も、ハルミチとそっくりな気がしていた。


――里帆ちゃんが言ってたこと、外れてはいなかったんだ。相良君は、私の憧れの存在で…じゃあ、矢嶋先輩は?


――矢嶋先輩にもし、彼女がいたら?


――ハルミチとか、相良君に彼女がいると分かった時と同じ反応で、気持ちの整理ができるのかな。


花火大会の日、ホームで4人で話していた時に夏樹が話していたことを思い出す。


『ひろも川上に狙われてただろ?』


『あー、あれな。うーん…』


『矢嶋先輩も、モテるんですねぇ。』


――あの会話を聞いて、矢嶋先輩も彼女いたりしたのかなって思ったんだった。


そう思った瞬間、あの時感じたモヤモヤが蘇ってきた。


考えただけで息苦しくなりそうだ。

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