聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「あれっ!?橋本?」
「相良君!」
「わ!工藤達もいるじゃん!偶然だな。」
相良の横には、目元がくりくりした可愛らしい女の子が手を繋がれて立っていた。
「あら、デートぉー?」
芽唯がニヤニヤしながら尋ねると、相良は頬を赤らめながら「うん、デート。」と答えた。
相良の彼女は、ペコッとお辞儀をして「はじめまして。」と言った。
――か、可愛い…。
菜々とあまり変わらないくらい小柄な身長の彼女は、明るすぎない茶髪をハーフアップにまとめ、ラウンドネックコートの下にはシンプルなブラックのワンピースを着ている。
そんな彼女に、相良は菜々達を紹介した。
「クラスメイト。で、彼女はクラスメイトで、マネージャーやってくれてる橋本さん。」
あ!という表情をした彼女は、菜々に向かってもう一度、ペコリとお辞儀した。
「じゃあ俺達、こっちの店だから。」
そう言って、手を挙げた相良は、向かい側のイタリアンの店に入ると、店員と何やら話をしてそのまま中へ入っていった。
「さすが相良君、スマートだね!お店の予約もしてたんでしょ、あれは。」
芽唯がキラリと目を光らせた。