聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
13 ずっと離さないで。
矢嶋との接点がないまま、年を越し、2月になった。
冬の高校サッカー大会では、日頃の努力が実を結び、準優勝。キャプテンの望月が得点王に選ばれ、サッカー部の調子はかなり上がってきていた。
ますます名が知れるようになった菜々達のサッカー部は、練習試合の申込みも増え、マネージャー同士での日程調整や打合せ等が多くなり、菜々は忙しい毎日を過ごしていた。
バレンタインが近づいてきたある日、菜々は神崎と一緒にバレンタインチョコを作ることにした。
調理室が空いていたので、モリセンを手作りチョコで説得し、特別に許可をもらって学校で作ることにした。
「よし!材料も揃ったし、さっそく作りますかぁ。」
神崎が、気合いを込めて腕まくりする。
「頑張りましょう!私、トリュフチョコの作り方、色々調べてきましたよ。」
「さっすが橋本ちゃん!仕事できるぅー!」
2人はネットの動画を見ながら、テキパキと作業を進めていった。