聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
美桜はなんとも居心地が悪くなり、こっそりその場から立ち去ることにした。
「レースちゃん!気をつけて帰れよ!」
静かに立ち去ろうとしている美桜に気付いた夏樹が後ろから声をかけてきた。
振り返ると、夏樹が心配そうな表情でこちらを見ている。
そして、まだ夏樹に腕を巻き付けているみなみはというと…すごい眼力で、こちらを睨みつけていた。
――こ、こわっ。
美桜は鳥肌がたった腕を擦りながら「ご心配なくーお先に失礼しまーす」と言って、そそくさとその場を後にした。