聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
美桜はよろけて、夏樹の身体に背中から寄りかかる格好になってしまった。
「ちょ、ちょっとなんですか!?」
驚いた美桜が抗議のために振り返ると、予想以上に夏樹の顔が近くにあった。
――ち、ちかっ!!
美桜は、またも顔が赤くなるのを感じた。
――もうっ!最近なんでこんなに赤面率が高いのよ!!
夏樹から身体を離そうと、体勢を整えようとしたが、腕を掴まれているせいか身体を離せない。
夏樹はというと、自分の懐でジタバタする後輩を楽しそうに眺めている。
そしてそのまま美桜の耳元に顔を寄せて尋ねた。
「また今日も図書室で自主勉するの?」
「はい!?」
真っ赤になった耳元を空いた手で抑えながら、美桜は夏樹を振り返って見た。
――また耳元で囁いたりしてー!
こんなことをしょっちゅうされたら、たまらない。