聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


――あっという間だったなぁ。


美桜は電車に揺られながらさっきまでの夏樹との時間を思い返していた。


すると、握っていたスマホが震えたので、美桜は画面を見た。


夏樹からのメッセージだ。


『今日は遅くまでありがとう。あっという間だった。』


――私と同じこと言ってる。


メッセージを見てニヤけている自分に気付き、美桜は慌てて表情筋をもとに戻す。
喜びを隠しきれない自分がいることを、認めざるを得ない。


――堀越先輩といるとすごく楽しい。たまに誂ってきたりするけど。


すると、また画面に夏樹からの新しいメッセージが届いた。


『美桜といると楽しい。また誘わせて。』


――ふふ、楽しいって、また同じ事言って…ん?

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