麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑦/危険色の進路決す!
絶叫、そして契り/その2
麻衣


「倉橋さん…、ひょっとして、私のこと心配してくれちゃってるんですか~?」

私は肘をテーブルに乗せ、両手を組んだ上に顎を置いて、やや身を乗り出して言ったわ

ちょっといたずらっぽい顔してね

倉橋さんは少し笑いをこぼして、その後ジョッキの中の生ビールを一気に飲み干した

そして…


...


「いや~、なんてうまいんだ。麻衣ちゃんとの会話は楽しいし、今日は湿っぽい話はよそうと思ってるんだけどな…」

倉橋さん…

私…、咄嗟にいたずらっぽい顔やめちゃってたと思う

「…なあ、あまり無理するなよ」

この人が何を言いたいのかは、わかってる

じっと私を見てる目、とても優しいって…

でもなあ…

戦後この国の、やの字業界でひと際恐れられた撲殺人がこんな表情って…

うーん…、やっぱ、似合わないや(苦笑)


...


「…会長さんからは、そういう言葉なかったわ。無論、あの人も私がこの後、どうするかはわかってる。あなたとおんなじことを思ってる。でも、相馬豹一はそういうこと、口にしない…」

「俺は相馬豹一じゃないからな…。素直に思ったことを口にしたまでだ」

「倉橋さん…」

「よし、もうやめよう。すまなかった。これからまた、大変な舞台を踏む覚悟の君に、迷いを与えるようなこと言っちまって…」

「ううん。正直な気持ちとしては嬉しいし、その思いには感謝してるわ。…まあ、どの程度の無理になるかは出たとこでって感じだけど、要は体力勝負だから、今夜はお肉いっぱいいただくわ」

「おお、たっぷりどうぞ。ハハハ…」

二人は再び、笑い声が飛び交う明るい会話に戻ったわ

まあ一応、明後日は”仲間”3人が遠巻きに着いてくれるとを言っといた

そしたらさ…

かなり安心した様子だったわよ

この、撲殺人さん(苦笑)





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