ハッキリ言わないで!
ぅ、今のはダメだって。
自覚した時には言葉が出た後で。
私がこんなんじゃ、水樹くんは。
本当に...............
前園先輩のところに、行っちゃうかもしれない。
そう思うと、そのまま。
「..................ぅ、ごめ、」
ポロポロと出てくる涙。
そんな私を見て水樹くんは。
「..................ん。大丈夫」
小さい子供をあやすように、
私の頭をポンポンッと撫でてくれた。
「........................っ、ぅ、」
「俺が好きなのは、小波だけだから」
『ハッキリ言わないで!』なんて、
ただ、恥ずかしくて素直になれない私から出ちゃう言葉。
それなのに、水樹くんは、
どこまでも優しくて、安心する言葉をくれる。