推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○校内見学終了後の教室



航太は席で寝ていて、穂香は何も話しかけることなく自分の席に座っていた。


しばらくすると教室に生徒達が帰ってくる。

ティッシュを持って帰ってくると約束していた亜美が、穂香の席に走り寄ってきた。


亜美「穂香~。戻ってこなかったね。何してたの?」


穂香「あ……茶髪の不良っぽい先輩にぶつかっちゃって怒られてて……」


亜美「えーっ!!大丈夫?」


穂香「大丈夫だったんだけど……」


穂香は机で寝ている航太に目をやった。


亜美「ん?そこのお昼寝男と何かあった?」


穂香が答える前に、航太は微動だにすることなく机で寝たまま独り言を言う。


航太「お昼寝男は……可愛らしいお友達を階段で見かけただけ………はぁ……疲れた……」


穂香は顔が真っ赤になり、亜美の方を向けない。


穂香(今、可愛らしいお友達って言った?
私の事だよね?私の事を可愛いって?
……なんかちがうっ!!
こんな男に好かれたいわけじゃないんだがーーーっ!!)


少し距離が縮まった?穂香と航太だった。




(校内見学終了後の教室。終了)






○校内見学の日の夜。穂香の部屋


今日も寝る前になると、ベッドに寝転がってK様のSNSにコメントを書き込む穂香。


穂香のコメント「今日は校内見学でした。少し怖い思いをしたけど、新しくできたお友達が助けてくれました」


こんな風に書き込んで、送信を押そうとしたが慌てて消した。




ふと航太の顔が思い浮かんだが、やっぱり変な奴と思うと書き直したのだ。


穂香のコメント「今日は校内見学でした。少し変な人だけど、新しいお友達ができました」


に変えて送信する穂香だったがやっぱり返事なんて来ないまま。





(第2章。終了)






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