推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~

第3章~新入生歓迎会~

○放課後の教室。合唱の練習風景


新入生歓迎会まで1週間しかない。

入学して2日目で早くも合唱の練習が行われる。

生徒達は教室の後ろに並んで、体育館のステージで合唱する時と同じように男子は左側。女子は右側に集まって整列していた。

男女別の名簿順で並ぶと嶋村の「し」と北澤の「き」は自然と何をするにも近くなる。

体育館のステージで並ぶのも隣同士。
一列目の真ん中に並ぶ事になってしまう穂香と航太。


航太「歌とか苦手なんだよなぁ……面倒だなぁ……邪魔くさいなぁ……」


当然、穂香の耳にも航太の独り言が入ってきて、小声で注意する。


穂香「ちょっと……心の声が漏れすぎだって……」


航太「なんだよ……学校に来てすぐに合唱って……面倒だなぁ……」


穂香も気持ちはわかるけど。と思いながらも、先生に怒られないように無視した。


たまに男子がふざけて前の男子を押し出したり、髪を少し引っ張ってからかう等の行為が見える。

すると教壇に立っている田中先生が、厳しい表情でパンパンと手を叩いた。


田中先生「特に男子っ!!高校生はもう立派な大人です。中学生気分を卒業して、しっかり練習してくださいっ!!」


ベテラン女教師は、注意するのも手慣れたもの。

穂香はそんな様子を見て、苦笑いする。


穂香(物心がついた頃から、ずっと見てる光景だよね……これ……。男子が騒いで怒られるってやつ……)


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