推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
すると穂香の耳に、また航太の独り言が聞こえてくる。


航太「はぁ……嬉しそうに騒いじゃって……小学生みたい……」


穂香(アンタは幼稚園児やん!!
普通は思った事を口にしないんだって!!)


穂香は自分の心の中のツッコミで思わず顔がにやけてしまう。

歌の練習が始まると、CDラジカセから流れる歌詞入りの音声に合わせて、生徒達が歌詞を片手になんとなく歌ってみる。

合唱コンクールのような場所でしか聞かないほとんど知らない歌。

ただ隣にいる航太は張り切って歌っている。


航太「若人よぉぉぉ いざ行けえぇぇええ~」


聞いてられないほど音痴で、穂香は笑いが止まらない。

穂香(知らないなら無理して歌わなくてもいいのにーーーっ超ウケるんだが~っ)


それから何度か歌って、みんなも曲を覚えてきたのだが、航太の音痴は直らない。


航太「虹のかかるううぅぅ そぉらぁぁを~ 」


田中先生が苦笑いして、航太に注意する。


田中先生「北嶋くん。真面目に歌ってください」


航太「はぁい。真面目に歌ってまーす」



クスクスと生徒達がざわつく。
そのくらい航太の歌は音痴で笑えるものだった。


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