推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
何度か歌った時、田中先生が言った。


田中先生「嶋村さん。真ん中にいるからこの部分をソロで歌ってもらえない?」


穂香は驚いて声を上げる。


穂香「えーーーっ!!」


穂香(学校って理不尽な事が起こるよね……
名簿が一番だからとか、前の席にいるからとか……最悪。)


しかし先生に向かって文句を言える勇気を持ち合わせていない穂香。


穂香「わかりました。この鳥達のように、大海を越えて。って部分ですね?」


田中先生「じゃあよろしくね」


こうして、穂香がソロを歌うことになってしまった。

テンション爆下がりの穂香の耳に、また航太の独り言が聞こえてくる。


航太「はぁ……ソロとか目立っていいなぁ……面白そう……」


穂香(何も面白くないんだがっ!!
私は全く目立ちたくないのに~)


練習はまた続く。穂香はソロパートを緊張しながらも頑張って歌っていた。


穂香「この鳥達のように~ 大海を越えて~」



練習が終わると、バラバラと席に戻る生徒達。
そこへ亜美が穂香に歩み寄ってきた。


亜美「ソロとか凄いね?大抜擢じゃーん」


穂香「真ん中にいたからね。大抜擢というより、悪運の固まりなのでは……」


二人の話を聞いていた航太が通りすぎていく。


航太「悪運かぁ……俺と出会えるなんて幸運だと思うんだけどなぁ……」


穂香と亜美が苦笑いして、無言のまま顔を見合わせる。


穂香「悪運の始まりはアンタじゃんっ!!」


航太「そっか?おやすみ」


航太はそのまま机に座ると同時に、机に伏せて眠りについた。


(新入生歓迎会~合唱の練習風景~。終了)
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