推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○新入生歓迎会後の教室


穂香の席に亜美がやって来る。


亜美「声出なかったけど大丈夫?っていうか、代わりに歌ったの誰?男子?女子?」


ほとんどの生徒達は、誰かソロを歌ったのかわからなかった。
それまでの航太は、超音痴だったのだから。


穂香が航太の方を見ると、ぐったりと机で寝たまま、独り言を言っている。


航太「歌を歌ったから疲れたなぁ……はぁ……」


亜美はすかさず航太にツッコミを入れた。


亜美「マラソンの後くらい疲れてんじゃんっ!!」


穂香は空気を読んでいつものように、亜美と一緒に笑う。という選択肢を選ぼうと思ったが、今日は勇気を出した。


穂香は立ち上がって航太に深々と頭を下げる。


穂香「航太くん。今日は代わりに歌ってくれてありがとう。凄く上手だったよ」


すると航太は何も言わずに、右手をそっと上げた。


穂香(おうっ。みたいな意味かな?気にするなって意味かな?)


穂香にはやっぱり航太の考えている事がわからないまま。


(新入生歓迎会の後の教室。終了)




○その日の夜。穂香の部屋。


今日も寝る前に日課にしているK様のSNSにコメントを残す。


SNSのコメント【今日は新入生歓迎会で合唱がありました。私がソロを貰ったのに、風邪で声が出なくなっちゃって……。でもお友達が助けてくれました。感謝です】


K様に歌声が似ていたと思ったが、あの短いソロでは聞き間違いの可能性の方が高いと思う穂香だった。


(夜の穂香の部屋。終了)



(第3章~新入生歓迎会。終了)



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