推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○山の登り口。


学校の最寄りの駅から3つ先の駅で降りた生徒達。

青空だが昨日の雨でやはり地面は水溜まりも多くぬかるんでいた。


穂香「水溜まり多いね……」


亜美「山の上に着いたら、土偶みたいになりそう……」


穂香はクスッと笑ってツッコミを入れた。


穂香「土偶にはならないでしょっ!!」


穂香と亜美は先生の誘導に従う形で楽しそうに、山登りを開始した。


(山の登り口。終了)



○(山登りを始めて10分後の山道)


登り始めて10分ほど過ぎると、やはり靴に泥がつく為、足が重く感じてきた亜美が弱音を吐く。


亜美「もうしんどいんだけど……」


しかし穂香は楽しそうに笑みを浮かべた。


穂香「私は山頂の景色が凄く楽しみなんだ~」


そう言って小走りした穂香が、亜美の方へ向いた。


穂香「亜美っ!!頑張れ~。到着したら一緒にお弁当食べようね~」


次の瞬間、亜美の驚いた表情が穂香の目に映った。


亜美「穂香っ!!後ろっ!!」


穂香「えっ!?キャーーーっ!!」


穂香は昨日の雨で削れた山道の脇から滑り落ちてしまった。


亜美が上から大きな声で言ってくる。


亜美「穂香ーっ!!大丈夫っ!!」


滑り落ちたのは2メートルほどの急斜面。
土が濡れていなければ、途中で止まれたであろう。


手、服、ズボン。前面がドロドロになった穂香が恥ずかしそうに笑いながら亜美に向かって叫ぶ。


穂香「うん。大丈夫ーーーっ!!今から上がるねーっ」


穂香が斜面を登ろうとして、右足を地面に着けると、右足首が痛んだ。


穂香「いたっ……足を捻挫しちゃってる……どうしよう………」





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