推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~

○春の遠足。二人での下山。



航太は穂香を背負って下山し始めた。


穂香「航太くん。どこに行くの?」


航太「山を下りるに決まってんだろ?ここから山頂なんて常識で考えて無理」


穂香は少し残念だと思う気持ちもあるが、心の中でありがとう。と思って、航太の背に身を委ねる。



(春の遠足。二人での下山。終了)



○春の遠足。下山中に辿り着いた小川。


少しすると航太が足を止めて、穂香を下ろした。


穂香が辺りを見ると、地面は小さな丸い石で覆われていて、目の前には小川が流れている。


航太「ここでちょっと待ってて~」


穂香「あっ!!ちょっと待ってよっ!!」


航太が靴と靴下を脱いで川に入っていく様子を、その場で立ったまま目で追う穂香。


数分後。捕まえたメダカを3匹、拾った紙コップに入れて戻ってきた。


航太「ほら。めだかを捕まえてきた」


得意気に話す航太が、穂香に紙コップのめだかを見せる。


穂香「可愛い~っ」


その場に並んで座って、めだか鑑賞する二人。


穂香「この大きいのがお父さん。少し小さいのがお母さん。一番小さいのが赤ちゃんかなぁ?」


嬉しそうに話している穂香の隣で、航太は遠くを見つめて、いつもの独り言を言う。


航太「めだかの家族……小さな思い出の積み重ね……かぁ……」


航太の突然の深そうな話に驚く穂香。


穂香「えっ?急にどうしたの?」











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