推しの歌い手さま～想像してたのと違うんだが…～

○入学式が終わった後の教室


高校生活のスタートで、新しい友達との出会いに期待と不安が入り乱れる微妙な空気の教室。

黒板に背を向けて後ろに振り返り、自己紹介してる者。

鞄についているキャラクターのぬいぐるみを話題に話している者。

同じ中学出身で、元々仲の良いグループなどもいて賑やかな雰囲気だが、人見知りで席に着いたままの生徒もいる。

人見知りする穂香も席に座ったまま、ドキドキして俯き気味に席についている側。

穂香の席は一番後ろの窓から2列目。

穂香(何か話しかけられたらどうしよう……
歌い手の追っかけなんて趣味は、人に誇れるものでもないし……)


そんな事を考えていた穂香の耳に、窓際の隣の席から男の声が聞こえてくる。


隣の席の男「はぁ……お腹すいた……家に帰りたいよぉ……」


穂香がふと見てみると、机に屈してして顔は見えないが、イケメンぽいサラサラヘアの男子。


隣の席の男「はぁ……お腹すいたなぁ……」


教室の時計は10時を指している。
まだ学校に来て1時間ほど。


穂香(朝御飯食べなかったの？)


そう勇気を出して聞いてみようと思うが、人見知りの為に話しかける事ができない穂香。

そこへ厳格そうな眼鏡の中年の女性教師がやって来て、生徒達に緊張が走る。


田中先生「静かにしてください。私は田中 綾子(たなか あやこ)です。
今年1年このクラスの担任をする事になりました。よろしくお願いします」


生徒達「よろしくお願いしまーす」






(入学式が終わった後の教室。終了)