推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
ビルの入り口で二人が話していると、二人組の男がビルから出てきた。
黒のサマージャケットを羽織って、金髪を靡かせている一昔前のホストのようなイケメン。
もう一人は長身でTシャツに短パンというラフな格好。茶髪で短髪の爽やかイケメン。
どちらも清潔感があってカッコいい大人である。
すると金髪の男が穂香と亜美に話しかけてきた。
金髪の男「こんな所で何してんの?出待ち?誰のファン?」
穂香は話しかけられた事に驚きながらも、この人達はスタッフの人かも知れない。
K様の事を知ってる人かも知れない。
イベント会場や事務所、スタジオなどの出口で待つような行為は迷惑だとわかっている。
一目見たいと思うだけでも迷惑な事だとわかっている。
でもK様を見てみたい。
もし航太なら嬉しいのか?残念なのか?自分の気持ちも整理できないが、頭の中が混乱するほど一瞬で色んな事が思い浮かぶ。
それでも穂香は、ルール違反で二人から怒られる事も覚悟して言ってみた。
穂香「あ……あの……Kさ……」
穂香がK様は今日事務所にいらっしゃいますか?と言い終わる前に、横から亜美が被せるように言ってきた。
亜美「歌い手の方ですか~?今、二人の大ファンになりました~っ!!」
穂香が唖然とした表情で亜美を見ると、目を輝かせて、まるでハートの形になってるかのよう。
穂香「あ……亜美っ!!な…なな…何を言ってるのっ!?きっと違うよっ」
亜美は一人で盛り上がった後、急にキョトンとした目で穂香に言った。
亜美「えっ?歌い手の人じゃないの?」