推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~

第7章~今すぐ可愛くなりたい~

○7月中旬。朝の教室。


始業前の賑やかな教室。
授業が始まるまでクーラーを使えないので、蒸し暑い教室では下敷きを内輪代わりにして扇いだり者、机に伏せて授業が始まるまで我慢している者などがいる。


亜美は下敷きで自分を扇ぎながら、穂香に向かってブツブツと文句を言っていた。


亜美「先生が来るまでクーラーを使えないルールって何なの~?」


穂香「仕方ないんじゃない?電気代高いらしいし」


亜美「去年の倍の値段になってるってニュースで言ってたなぁ。私は涼しい部屋で快適に過ごしたいのに~」



おばさんの井戸端会議のような話をしていた二人。

そこへ航太が登校してきた。

穂香は机に向かったまま、右手を上げて挨拶する。


穂香「おはよ~」


航太「おはよ……」


今日も眠そうな航太は、穂香の席で足を止める。


航太「これ……貰ったから……一緒に行かないか?終業式の日なら午前中に学校終わるだろ……?」


そう言って穂香の机に置いたのは、遊園地のフリーパスチケットだ。


穂香は驚いた様子で航太を見上げた。


穂香「えっ?私でいいのっ!?せっかく貰ったんだから他の人と行けば?」


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