推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○終業式前日。リュウの美容室


夕方の繁華街にある美容室。1階のテナントはガラス張りでオシャレな雰囲気。
美容室にはオーナーのリュウと女性スタッフがいて、中年女性が女性スタッフに髪を切ってもらっている。

今日リュウと約束していた穂香が、緊張した面持ちで店内に入ると、女性スタッフが中年女性の髪を切りながら話している声が聞こえてくる。


女性スタッフ「夏休みはお子さん連れてどこに行かれるんですか~?」


中年女性「旅行に行こうと思ってるんだけど、どこがいいとかオススメってある?」


ありふれた美容室の光景に、少しホッとする穂香。


穂香(初めての美容室って緊張するんだよね……)


リュウ「どこの可愛いアイドルが入ってきたのかと思ったっ!!」


突然棚の向こうから顔を出したリュウに驚く穂香。


穂香「わっ!!こんにちは……」


リュウ「いらっしゃい。入って~。こちらへどうぞ~」


席に案内されると、リュウはクロスをかけて穂香の髪を触りながら、鏡越しに話してくる。


リュウ「やっぱり、穂香ちゃんって可愛いね?もっと可愛くしちゃうね?」


穂香は可愛いと言われると照れ臭そうに俯き気味になってしまう。


穂香「は……はい……」


リュウ「この前言ってたボブ。最近流行りのアイドルのアヤちゃんみたいな感じでいいかな?」


リュウはカラオケボックスで穂香に提案していた、ボブの髪型と雰囲気が同じ売れっ子芸能人の名前を出す。


穂香「はい。そんな感じでお願いします」


リュウ「じゃあ切るね~」


リュウはダックカールで穂香の髪を止めて、髪を切り始めた。









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