推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
リュウの冗談が、穂香を本気にさせた。


穂香「私もちょっとそうなのかな?って思ってたんですよ~。男子でK様のぬいぐるみを持ってるなんておかしいですよね?
リュウさんってK様に会ったことあるんですよね?どんな感じの人でした?」


嬉しくて興奮気味に早口で話す穂香に、苦笑いで返すリュウ。


リュウ「うーん。本人はぬいぐるみを持って歩かないかな?ほら。俺もそこに飾ってるし」


リュウの指を指した方向を見ると、リュウのキャラクターのぬいぐるみやキーホルダーが飾ってある。


リュウ「Kって可愛くて明るい感じの男だよ。歌は抜群に上手くて、作詞作曲もできて才能の塊って感じだったなぁ?」


リュウの話は穂香の知っている生配信のK様であり、航太の雰囲気ではなかった。


穂香(やっぱり航太くんと違うのかぁ……。なんか残念なような、違って嬉しいような……)


リュウ「でも穂香ちゃんがKの事を好きって知ってたら、プレゼントしたくてぬいぐるみを買ってくれたのかもね?」


穂香は学校でK様の話をほとんどしたつもりはないが、K様の正体が航太というよりも納得できる話で少し残念そう。


穂香「やっぱりそうですよね……その男子が遊園地のフリーパスを貰ったから一緒に行こうって誘ってくれたんです。明日なんですけどね?ぬいぐるみがプレゼントって話なら納得です」


リュウも遊園地のフリーパスを誰かに貰ったという話に笑う。


リュウ「その男の子って優しくていい子じゃん。穂香ちゃんが断りやすくしてくれたんだよ?買ったって言わない所が上手いなぁ」


亜美に言われるまで航太の気遣いに気がつかなかった事を、少し恥ずかしそうに話す穂香。


穂香「友達にも同じことを言われました。誰かにチケットを貰えるはずないって。私は全然気付かなくて、せっかく貰ったんだから、他の人と行った方がいいって言っちゃって……」


リュウ「アハハ。俺もその子くらい高校生の頃に気遣い出来たらもっとモテたのになぁ……昔の俺に教えてやりたいよ」


穂香はその言葉に、思わず言ってしまう。


穂香「リュウさんはカッコいいしモテますよね?」


< 51 / 100 >

この作品をシェア

pagetop