推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
リュウはクスクスと笑って言った。


リュウ「そんなことないよ。ほら。出来た。可愛くなったよ?」


リュウが穂香の髪を櫛で磨いで、ボブの髪型が仕上がった。


穂香「ありがとうございます」


リュウ「明日のデートこれで行ったら、その子はもっと穂香ちゃんの事を好きになっちゃうね?」


穂香は恥ずかしそうに俯く。


穂香「そうだといいんですけど……」


リュウはドライヤーで穂香の髪を乾かしながら、鏡越しに話しかける。


リュウ「もし俺なら穂香ちゃんを好きになるけどなぁ?」


穂香「なっ何を言ってるんですかっ!?冗談はやめてくださいよ~」


リュウ「可愛いし面白いし。もし冗談じゃないって言ったらどうする?」


穂香は頬を膨らませて、冗談ぽく怒った振りをする。


穂香「も~っ!!本気で怒りますよ?」


すると隣で髪を切っていた女性スタッフが話に入ってきた。


女性スタッフ「ちょっとっ!!女子高生に意地悪しちゃダメですよっ!!」


リュウはペロッと舌を出して頭を掻く。


リュウ「はーい。ごめんなさーいっ。
いちいち穂香ちゃんの反応が可愛すぎるから~」


そんなリュウを見て穂香は思った。


穂香(リュウさんって優しくて気さくなお兄ちゃんのような存在だなぁ……凄く話しやすかった。こういうお兄ちゃんがいればいいなぁ……)


ドライヤーでセットも終わって、レジに行くと穂香から受け取ったお金を返してくれた。


リュウ「タダって約束してたから、お金はいいよ。これ明日のデート代に使って。その代わりデートの結果教えて?
幸せだったよ~って。楽しみにしてるからさ」


穂香は可愛い髪型にしてもらい満足そうに微笑む。


穂香「わかりました。また返事しますね~」


リュウが店の扉を開けて空を見上げると、薄暗くなっていた。


リュウ「ちょっと駅まで送っていくからっ」




(終業式前日。リュウの美容室。終了)

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