推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○繁華街。駅までの道のり


空は薄暗くなり、ネオンが灯った繁華街。
サラリーマンの帰宅ラッシュやこれから遊ぶ若者でごった返す繁華街は、少し治安が悪そうに見える。

駅まで10分ほどの距離を二人で並んで歩いていた。


リュウ「明日頑張ってね?いっぱい可愛いって言ってもらえるといいね?」


穂香「んー。そういう事を言ってくれるタイプじゃないんで…………」


穂香(航太くんはそういう事を言わないんだよね……髪を切ったのも気付いてくれるのかなぁ……)


リュウ「そっか。言われないかも知れないけど、自信を持っていいと思うよ?」


リュウが駅の入り口付近で立ち止まると、穂香の視線に合わせるように腰を下ろして目を見つめる。


穂香「えっ……なんですか……?」


リュウ「笑ってごらん?」


穂香は少しぎこちない笑顔を見せる。


穂香「こ……こうですか……?」


リュウが穂香の前髪辺りをそっと撫でた。


リュウ「明日はもっと幸せそうに笑ってあげるんだよ?緊張して顔が強張ってると男は心配するから。つまんないのかな?って」


穂香「はいっ!!」


リュウからアドバイスをもらって、穂香は満面の笑みで返事をした後、駅の階段を上り始めた。


穂香「明日、頑張りますね~っ」


リュウ「はーい。頑張って~」


こうして二人は笑顔で手を振っている姿を、少し離れた場所で見ていた者がいた。


航太だった。


航太「ほーん……何か嫌なシーン見ちゃったなぁ……こんな道通らなきゃよかった……はぁ……」


寂しそうにその場から離れていく航太。




(繁華街。駅までの道のり。終了)

第7章~今すぐ可愛くなりたい~。終了








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