推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○遊園地の最寄りの駅の改札口。


学校から1時間程、電車で移動した先にある地元では有名な遊園地【フェアリーゲートパーク】の最寄り駅。

妖精のキャラクターが園内でイベントをしていたり、妖精をモチーフにしたアトラクションのある遊園地である。

夏休みの序盤とあって人はそれほど混雑していない。
穂香は改札口の前に来ると、航太を呼び止めた。


穂香「ちょっと待ってて。お手洗いに行ってくるから」


航太「ほーい。じゃあここで待ってる」


穂香がトイレに入ったのは、私服に着替える為だ。
今日の初デートの為に用意した白の可愛らしいワンピースに着替えると、鏡の前で深呼吸する。

まだ航太から髪型にも触れられていない。
気付いてないのか?似合ってないのか?そんな事すら心配になってしまう。


穂香「可愛いって思ってもらえるかな……頑張れ私っ!!」


こうしてトイレから出てきて、航太の前に立つと穂香は恥ずかしそうに言った。


穂香「ど……どうかな……?似合うかな……?」


航太は頭から足の先までチラッと見て、無表情のまま小さな声で言う。


航太「ビューティフルガールの4月号のちなつんみたい」


穂香「………」


穂香(わからんっ!それ!褒められてるの?ビューティフルガールって、ティーンズファッション誌だよね?
知ってるけど、見たことない……。
ってか、ちなつんって誰?
きっと読者モデルなんだろうなぁ……?
求めてる答えは、可愛いか似合うしかないんだが……)


航太は穂香の気持ちなど知るよしもなく、改札口を通っていく。


航太「行くよ?」


穂香「あっ……うん……」



(遊園地の最寄りの駅の改札口。終了)

< 55 / 100 >

この作品をシェア

pagetop