推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~

第9章~初デート~後編

○お化け屋敷の入り口。チケット拝見の場所。


スタッフのお姉さん「フリーパス見せていただきますね?」


二人がチケットを見せて、カーテンの中の暗い道に入る所で、航太が穂香の手をさりげなく握ってくる。


穂香は一瞬、航太の顔を見上げるが、すぐに視線を落として手を握り返す。


穂香「お化け屋敷っなんか怖いね……?」


航太「別に……」


穂香(手を握りたいとか言ってたのに、いざとなると塩対応?
男の子って何を考えてるかわかんない……)


そんな事を思いながらカーテンを二人でくぐった。


(お化け屋敷の入り口。チケット拝見の場所。終了。)


○お化け屋敷の中。


お化け屋敷の中は薄暗くて、学校をモチーフに作られていて、廊下を歩く二人。


音楽室の無人で聞こえてくるピアノ。

理科室の動くガイコツ。

機械仕掛けで動いているお化けよりも、穂香が怖いのは暗い室内。


穂香「ちょっと怖いな……」


航太「………」


航太に話しかけても何も返事がない。
ただ握っている手がギユッと力が入っているのが、穂香にも伝わってくる。


ギーッ
バタンッ


正面に見えるトイレの前を二人が通りがかると、トイレの個室の扉が自動で開いた。


穂香「きゃっ!!中に誰かいるっ!!」


思わず航太の背中に隠れるように、腕にしがみつく穂香に対して、航太は真っ直ぐ前を見つめたまま、うわ言のように呟いていた。


航太「大丈夫……大丈夫……」








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