推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○ジェットコースターに向かう通路


室内でクーラーもついてて涼しかったお化け屋敷から出てくると、汗が滲み出てくるほど暑い野外の通路。


何も言わない航太と並んで歩いている穂香は、恥ずかしそうに航太を横目で見るしかできない。


穂香(お化け屋敷は、少し思ってたのと違ったなぁ……
余裕な航太くんはいなかったし……出口付近で抱き締めてくれるってのも、私が怖がり過ぎて転んだのが悪いんだけど……
でも航太くんが守ってくれたのは間違いないし……キスしそうになっちゃうし……)


ぼんやりと少女漫画みたいにはならないんだ?と思いながら歩いていると、航太がジェットコースターを見上げて言った。


航太「あれ……ヤバくない……?」


穂香「えっ?」


穂香も同じように見上げると、頂上付近で1度止まったジェットコースターが、後ろ向きに垂直落下で走り出す絶叫ポイントを目の当たりにした。


穂香(怖すぎる……脅える顔とか見られたくないんだよねぇ?航太くんに可愛いって思われたいのに……)


なんて考えていると、航大が穂香の手を握ってくる。


航大「あれってフェアリーゲートパークの名物なんだって。ネットで調べたんだ。あれに乗らなきゃここに来た意味なくない?」


穂香は作り笑顔で返す。


穂香「そうだね?乗ろっかっ」


穂香(デートプランを調べてくれたんだ?なんかそういうの嬉しい。もう航大くんと写真も撮ったし、手も繋いだし、キス未遂事件もあったし、お腹いっぱいなんだけど……)


穂香は断る勇気もなく、ジェットコースターに乗ることになった。


(ジェットコースターに向かう通路。終了)


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