推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
しかし穂香の気持ちなどお構いなしに、余裕だったはずの航太の悲鳴が聞こえてくる。


航太「イヤーーーっ!!こわっ!!うぎゃーーーっ!!許してくださーいっ!!もうやめてくださーい!!」


穂香(我慢しなきゃ私も同じようになっちゃうからっ!!絶対に口を開けないようにっ!!)


ガタン!!


ジェットコースターが止まったのは、ゴール地点ではなく、これから垂直落下で後ろ向きに下がる箇所。


航太が先程までの怖がりようが嘘のように、穂香を見て笑顔を溢す。


航太「穂香ちゃん大丈夫だった?」


穂香「凄く怖かったぁ……今からもっと怖いんだよね……?」


すると航太が、安全バーに置いている穂香の左手にそっと右手を重ねてきた。


航太「大丈夫だよ」


穂香(少女漫画で見たことがない展開っ!?
手を添えてもらうだけで、心が暖かくなった気がするんだがーーっ!!)


数秒後に後ろ向きでゴールまで走っていくジェットコースター。


目を閉じて歯を食い縛る穂香と、相変わらず騒がしい航太だった。



(ジェットコースター。終了)


< 66 / 100 >

この作品をシェア

pagetop