推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○ジェットコースターを降りた後のベンチ


穂香はジェットコースターを降りて少し歩いた所にある花壇に囲まれたベンチを見つけた。

航太はジェットコースターから降りた後、乗り物酔いをしたようで、青白い顔をしてフラフラとしている。


穂香「そこのベンチに座ろっか?」


航太「うん……」


穂香がベンチに座ると、その横に座った航太が寝転がった。
航太の頭は穂香の太股を枕にして。


穂香「えっ……?」


航太「ヤバイ……超絶しんどい……地球がくるくる回ってる……」


お化け屋敷も絶叫系の乗り物も苦手なのに、頑張ってくれた航太に微笑む穂香。


穂香「ゆっくりしてていいよ」


穂香が膝枕をしている航太の頭を優しく撫でてみる。


穂香(出会って3ヶ月以上になるけど、初めて航太くんの髪の毛を触った……すっごいサラサラ……まだまだ知らない事がいっぱいあるんだなぁ……)


しばらく頭を撫でていると、航太は心地良さそうに静かになった。
穂香は航太の頭を撫でながら聞いてみる。


穂香「寝ちゃった……?大丈夫……?」


航太「………」


穂香「あらら……今日は私を楽しませる為に頑張ってくれたんだね……」


航太に聞こえるかどうかという程度の小さな声で言っても、全く反応がない。


しばらく航太の頭を撫でながら、過ごしていると航大が小さく呟いた。


航大「今日の穂香ちゃん……可愛いよぉ……」


穂香「えっ?」


昨日切ってもらった髪型も、服装も褒めてくれなかった航大が可愛いと言ってくれた。

寝言か?起きてるのか?わからないが、穂香は嬉しくてニヤニヤが止まらない。


穂香(そういうのはちゃんと目を見て言ってほしいな……)


ふと穂香が空を見上げると、天気が曇ってきている。


穂香「航太くん。そろそろ起きなよ?雨が降るかも知れないよ?」


航太「……んっ?ほーいっ」


しばらく休憩した二人は、また園内を歩き始めた。




(ジェットコースターを降りた後のベンチ。終了)







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