推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~

第10章~告白~

○観覧車に向かう通路


できるだけ高い場所から見下ろせるように設置された観覧車は丘の上にある。

両サイドに花畑が囲んだ坂道を登っていく二人。


航太「最後にあれに乗ろっか?」


航太が指を指した先に見えるのは観覧車。


穂香は一瞬、言葉に詰まる。


穂香(あの観覧車って、3台しかないハートの窓のゴンドラに乗って、頂上で告白されたら永遠に結ばれる。っていう有名な観覧車じゃんっ!!)


SNSで映えるように、70台のゴンドラの中に、そんな遊び心を加えた観覧車だ。


穂香「別にいいよ?」


穂香(どうせ70分の3だし、当たるはずないもん。)


そんな風に思いながらも、歩きながら妄想してみる。





○穂香の妄想

ハートの形をした窓から見える綺麗な夕焼け。
妄想の中では晴れているが、現在の遊園地の天気は曇っている。


穂香「航太くんっ!!夕焼けが綺麗だよ?見てみて~」


航太「本当だね?凄く綺麗だね?でも……」


航太が穂香の隣に座ると、そっと肩に手を回して、優しく抱き寄せる。


航太「穂香ちゃんの方が綺麗だよ……」


穂香は真っ赤な顔になって俯いていると、航太が指先で穂香の顎を少し持ち上げる。


穂香は突然のアゴクイに驚いて、目をパチパチさせた。


すると航太は穂香の目を見て、優しく囁いてくる。


航太「穂香ちゃん……大好きだよ。僕とお付き合いしてくれないかな?」


穂香「はい。よろしくお願いします……」



(穂香の妄想。終了)


穂香は観覧車に向かいながら、一人で照れる。


穂香(可愛いなんてそんな……本当にお付き合いしてください。なんて言い方するのかなぁ?)


航太が不思議そうに穂香の横顔を見つめた。


航太「どうしたの?」


穂香「ななな……何でもないですっ」


思いきり慌てる穂香を見て笑う航太。


航太「変なの……」


こうして観覧車に向かっていく二人。


観覧車に向かう通路。終了)










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