推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○観覧車乗り場。


親子連れや若いカップルが20人ほど並んでいる観覧車乗り場。

一人で観覧車に乗る人は、ほぼいないので7.8組も待てば乗れるだろう。


穂香が航太を見てみると、ずっとゴンドラを見つめていた。
穂香もゴンドラが気になって仕方がない。

乗りたい気持ち半分。恥ずかしい気持ち半分。だがハートのゴンドラがどこにあるのか?を探してしまう。

ハートのゴンドラは7組目にあった。

穂香は並んでる人をグループ分けしながら数えてみる。


穂香(カップルが1組で…この親子は3人で……6人組の男の子ってどういうメンバーで乗るの?私の前にいる小さな男の子を連れたおじいちゃんとおばあちゃんはハートのゴンドラに乗りたい?)


すると航太が小さく呟いた。


航太「俺……高いところ苦手なんだよなぁ……」


穂香(ハートのゴンドラを見てたんじゃないのっ!?男の子の気持ちってわかんない。
ジェットコースターが名物って知ってるくらいだから、観覧車のハートの窓のゴンドラも当然見てるよね……
学校でも噂になってたレベルの有名な観覧車だし)


穂香は少し意地悪そうに笑って、航太に言った。


穂香「ジェットコースターも凄かったもんね…許してくださーいって」

航太はハートのゴンドラを見上げたまま、表情を1つも変えないまま返事する。


航太「だって……高い所が苦手だし……」


穂香「反応が薄いよぉ。だって怖かったんだも~ん。とか照れながら言ってほしいのに」


航太「ほーん……」


まるで芸人の控え室のようなダメだしをする穂香と、話を聞いてるのかどうかさえ分かりにくい航太。






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