推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
航太は男の子を抱き上げて、クスクスと笑う。


航太「お兄ちゃんはお姉ちゃんの事が好きだよ?君は好きな子いるの?」


そう言った航太は、子供の両脇を抱えて高く持ち上げる。
そんな様子を見ていた穂香は、嬉しさが半分。恥ずかしさ半分で眺めていた。


穂香(今、好きって言ったよね!?でも……それってライク?それともラブ……?どっちなんだろ……?)


穂香のフワフワした気持ちを察することのない航太と男の子は会話を続けていた。


男の子「僕はね?きあらちゃんが好きなんだよ」


穂香(きあらちゃん?さすが今時のキラキラネーム。お姫様みたいな女の子なんだろうなぁ……?)


穂香が無駄な事を考えていると、航太は男の子に言う。


航太「きっとその女の子も君の事が好きだと思うよ?だからその子を大切にしてあげるんだよ?」


航太のキラキラした優しい笑顔は眩しいほど輝いていた。


穂香(航太くんってこんな表情もできるんだ……?)


航太は男の子を下ろして、老夫婦に深々と頭を下げる。


航太「ありがとうございます。お先に失礼します」


見たことのない礼儀正しい航太に驚いている穂香。


穂香(いつも眠そうで「先生バナナはおやつに入るんですか~?」みたいなキャラなのに……)


航太はそんな事を言ってないが、穂香はまだまだ知らない事が多い航太を不思議そうに見ていた。


航太「穂香ちゃん。乗るよ?」


穂香「うん。ありがとうございました。男の子もありがとね。ばいばいっ」


こうしてハート型の窓のゴンドラに二人で乗った。



(順番まで残り3組まで進んだ観覧車乗り場。終了)


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