推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○ハートの窓のゴンドラ


ゴンドラに乗り込むと、ハートの窓以外は壁で覆われていて、小さめのシャンデリアが室内を照らしている。
そしてハートの窓の上にはブーケが飾られていて、窓の淵にはLEDが埋められている。
夜にシャンデリアの電気を消すと幻想的な世界観が見れる仕様になっていた。


穂香「すごいね?椅子も少し豪華だし」


航太「今時の観覧車ってこんな感じなんだ……?」


航太の言うように、最近の観覧車は別料金でVIPゴンドラや、お化け屋敷ゴンドラなど変わったものがある。

椅子もビニールシートではなく、観光バスの席のようなふかふかした生地であり、目を輝かせて見ている穂香。

向かい合って座って数秒後、航太が壁に備えてある絵本を手にする。


航太「何これ?」


航太が手にした本は、ハートマークに男女の空を飛んでいる可愛い天使が描かれた表紙のもの。

興味津々で覗き込む穂香の目の前で、航太が表紙をめくって、1ページ目を読んでみる。


航太「これから出される質問に、二人で同時にせーのっ。で答えてみましょう。だって……」


穂香「ふーん。せーのっ○○みたいに言うんだね?」


航太が次のページをめくって質問を読んでみた。


航太「二人が初めて出会った時、どんな印象でしたか?だってさ。やってみる?」


穂香「うん。いいよ。じゃあ始めるよ?せーのっ」


穂香と航太が目を合わせて、穂香の掛け声のタイミングに合わせる。


航太「可愛い」穂香「変な人 」


航太はクスクスと笑って言った。


航太「酷いなぁ。変な人って何……?」


穂香は気まずそうに答える。


穂香「だってさぁ。顔もわからないくらい寝てるし、ブツブツ独り言を言うしさぁ」


航太「眠いんだから仕方ねぇじゃん。」



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