推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
穂香はずっと気になってたいた事を不思議そうに尋ねた。


穂香「ずっと気になってたんだけど、なんで毎日眠いの?」


しかし航太は笑って誤魔化す。


航太「俺は1年中、冬眠してるから」


穂香は手をバタバタとさせて、頬を膨らませて冗談ぽく怒ったフリをして見せる。


穂香「もーっ!!人間が冬眠とか聞いたことないっ!!」


そんな穂香を見て笑っている航太。


航太「本当なんだから仕方ないじゃん。次行くよ~?」


穂香(やっぱり航太くんって自分のことは全然話さないんだなぁ……)


少し浮かない顔て返事する穂香。


穂香「ちょっと待って?初めて見たとき、私の事を可愛いって思ってくれてたの?こういうのって、お互いに言った後に、その話題で盛り上がるって事だよね?」


自分のことは何も言わない航太から本を取り上げて、パラパラとページを捲っていく。


穂香「相手の好きな食べ物は何ですか?相手の好きな所はどんなところですか?ほら。お互いに言って、その話題を楽しむものなんたって。
例えば私が航太くんの優しい所が……」


穂香が航太に説明しようとして、航太くんの優しい所が好き。と言いそうになると、慌てて恥ずかしくなって話をやめてしまう。


すると突然さっきの質問に答える航太。


航太「初めて見た時から可愛いって思ってるよ?今でもずっと……」


穂香は視線を合わせる事なく本を見つめたまま。


穂香「ありがとう。……あの……恥ずかしいから次の質問に行くね……?」


ペラペラとページを捲るが、嬉しい気持ちと恥ずかしさでパニックになっている穂香は文字が見えていない。

終わりの方のページで手を止めた穂香が言った。


穂香「二人の一番の思い出はなんですか?だって。行くよ?せーのっ」


航太にゆっくりと考える隙間を与えずに進めていく穂香。


穂香「春の遠足っ!!」航太「今っ!!」











< 73 / 100 >

この作品をシェア

pagetop