推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
第2章~校内見学~
(入学式の次の日。朝の教室)
亜美「昨日、派手にバーンってやっちゃったね~?あっ!!私は亜美って言うの。よろしくねっ」
登校してきて席についた穂香に、陽キャの代表のような雰囲気で茶化すようにに話しかけてきたのは
中橋 亜美(なかはし あみ)
航太と反対の隣の席に座っている女子生徒だ。
穂香「あっ!!うん。ごめんね」
穂香は苦笑いして亜美にそう言った後、航太の方を見ると、こちらに背中を向けて外を眺めている。
航太「はぁ……悲しいなぁ……桜が散っていく……」
穂香(今日はお腹すいてないのね?
桜が散るのが悲しいって、詩人か何か??)
航太の独り言に、心の中で思わずつっこんでしまう穂香。
そして亜美に向かって、気まずそうに小声で言った。
穂香「この人の独り言が気になっちゃって……ついバーンって……」
するとクスクス笑う亜美。
亜美「独り言はヒドイけど、顔は綺麗じゃない?」
穂香「ま……まぁ……」
小声で二人が話していると、航太は外を眺めたまま呟く。
航太「顔が綺麗か……桜と同じで人間の綺麗な見た目って一瞬なんだよなぁ……はぁ……」
穂香と亜美「えっ?」
航太の言葉に、穂香と亜美が顔を見合わせた後、亜美が耳打ちしてくる。
亜美「なんか……ちょっと深くない?」
穂香はコクりと小さく頷く。
穂香(若くて顔が綺麗だとチヤホヤされるのは、10代から20代辺りの数年だけって話なんだよね……?きっと……)
入学式の次の日。朝の教室。終了)