甘い罠、秘密にキス

「──あっ、んん…ふっ、ああっ」


前回もなかなか激しく抱かれたと思っていたけれど、それはどうやら私の勘違いだったらしい。あの日は私が初めてなのもあって、かなり手加減してくれていたのだと今になって気付いた。

だって今日の方が何倍も激しいから。後ろから攻められるのも初めてなら、座ったまま向かい合って繋がるのも初めてで、次々繰り出される技に頭も身体もついて行くのがやっとだった。

より奥の深い場所を攻められ、何度も身体を震わせる私を見て、桜佑が嬉しそうに笑う。その笑顔はやけに艶っぽく、色気があってかっこよくて、その目に見つめられるだけで桜佑を締め付けてしまう。


「…桜佑、お願いだから、もう…」

「まだもう少し」


この男、私を殺す気?
足はガクガクして力が入らないし、恥ずかしいくらい喘ぎすぎて喉もカラカラ。桜佑が少し刺激するだけで身体が跳ねしまうくらいには敏感になっていて、気を抜いたら意識が飛びそう。


「無理…だって、あっ、やぁっ」


濡れすぎて、桜佑が腰を打ちつける度に卑猥な水音が響き、羞恥と同時に快感が襲う。


「…伊織…締めすぎ」

「だっ、て…そこ…だめっ」


再び押し寄せてきた波に、全身をビクビクと震わせた。がくんと力が抜けて、シーツにぐったりと身体を預けていると、伸びてきた手が私の横髪を撫でた。


「…伊織」


さすがに終わりだと思ったのに、桜佑はまだ繋がったまま私を見下ろしている。肩で息をしながら「なに?」と返事をすると、乱れた前髪から覗く瞳が、優しく細められた。


「好き」

「……」

「めちゃくちゃ好き」


──涙が出そうなほど幸せな気持ちになるのは、どうして?

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