甘い罠、秘密にキス
「だ、大丈夫?どこかで頭打ってない?ここまでくると怖いを通り越して心配になるんだけど…」
この人好きの意味分かってんのかな。昔虫かごで飼ってたカエルと同じ感覚で言ってない?だって…
「そもそも、私のこと女と思ってないでしょ?」
「俺がいつそんなこと言った?」
「そんなことしか言ってなかったよ。お前は男だとか、男だから俺たちの遊びに混ざれとか。オスゴリラが既に男みたいなものだし、なんならあんただけでなく他の人にも女に見られないのに…」
何度思い返してみても、この男に女として扱われた記憶は残っていない。この男に限らず、実の親ですら私を男として見てた。それなのに、急に好きだと言われても信じられるわけがないよ。
「もしかすると、数年ぶりに再会して懐かしい気持ちと好きって気持ちがこんがらがって勘違いしてるだけだったり?」
「俺はそんなアホじゃねえよ」
「だってこの私だよ?自分で言うのもなんだけど、女子力皆無だし、女にしては背も高いし」
「俺の方が高いから心配ない」
「それにほら、胸もぺちゃんこだし。こんな身体に欲情しないでしょ」
そういえば私達、本当にシたの?最後まで出来たのかな。桜佑は既に服を着ているから事後らしさがどこにもない。そもそも桜佑が私に興奮するなんて考えられないというか…
「安心しろ、俺は胸より尻派」
「なんだろう、フォローされてるはずなのに全然嬉しくない」