甘い罠、秘密にキス
時折リップ音を鳴らしながら何度も落ちてくるキスは、さっきとはまた違い少し激しく、でも優しい。
上顎をなぞられたかと思えば、今度は下唇を甘噛みされる。息継ぎをしようとすれば、追いかけるように唇を塞がれる。
とろけるような熱くて甘いキスに、どんどん思考が奪われていく。身体の力はすっかり抜け、桜佑の支えがなきゃ今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
「お…すけ、もぅ、むり…」
勿論こんなキスを経験したのは初めてで、どうすればいいのか分からずただひたすら桜佑を受け止めていた。
さっきのキスも充分激しいと思っていたけれど、全然違う。どうやら彼なりに手加減してくれていたらしい。
「ベッド行くか?」
小さく頷くと、桜佑は力が入らずぐったりする私をすんなりと抱き抱え、そのまますぐそばにあったベッドへと運んだ。
女にしては大きい私をこんなにも簡単に抱えられるのは、きっとこの男だけだと思う。
ガッチリとした体付きは男らしく、当たり前だけど私とは全然違う。桜佑といると、自分は女なんだと実感出来てほっとするから不思議だ。
「服、脱がせていい?」
返事をする前にボタンに手をかけられ、慌てて首を横に振った。
「…もう少し、部屋を暗くしてほしい」
「……」
不服そうな顔で見下ろされる。簡単には首を縦に振ってくれないようだ。
「恥ずかしいんだって」
「…ちゃんと見たい」
「下着も可愛くないもん」
「そんなの気にしねえよ」
「私が無理なの」
お願い。涙目で頼んだのが良かったのか、渋々頷いた桜佑は、部屋の明かりを暗くしてくれた。
桜佑って案外、押しに弱いのかもしれない。