甘い罠、秘密にキス
──ぎしり、とスプリングの音が鼓膜を揺らす。
部屋が暗くなったせいか、その分音に敏感になってしまったようで、衣擦れの音ですら身体が反応してしまう。
そんな私を余所に、桜佑は再び私のシャツのボタンに手を伸ばす。その表情に緊張なんて感じない。いつだって翻弄されるのは私の方で、なんだか悔しい。
暗くて視界は悪いのに、桜佑はシャツのボタンがひとつひとつ器用に外していく。どこを見ればいいのか分からず、男らしく骨ばった手をじっと見つめていると、いつの間にかシャツを剥ぎ取られていた。
息付く暇もなくキャミソールの裾に手を入れられ、そのくすぐったさに思わず身を捩る。そうしている間にも桜佑の手が背中に回り、いとも簡単にブラのホックを外されてしまった。
露になった身体に視線を落とす桜佑。慌てて布団を手繰り寄せ隠そうとしたけれど、それもすかさず制された。
「隠すなよ。部屋も暗いから大丈夫だって」
「…小さいから、恥ずかしい…」
ただでさえ平らな胸なのに、仰向けになったら無いに等しい。耐えきれず手で隠そうとしたけれど、その手もあっさりと掬い取られ、シーツに縫い付けられてしまった。
「あんま見ないで…」
「なんで?綺麗だから自信持てよ」
私を愛しそうに私を見つめる視線に、身体が火照っていくのが分かる。思わず顔を背けると、ふっと笑みを零した桜佑は、私の首元に顔を埋めた。
首筋や耳朶、鎖骨にキスを落とされ、自然と身体が反応してしまう。それと同時に桜佑の手がそっと膨らみに触れ、思わず吐息のような声が漏れた。