甘い罠、秘密にキス
「その声、もっと聞かせて」
「…は、ずかし……」
自分の声が変だとかそんなの抜きにして、純粋に恥ずかしい。まずこんなに自分の身体が敏感だったなんて知らなかったし、だからなのか勝手に声が出ちゃうし、相手はあの桜佑だし。
色々な感情が押し寄せてきて、生理的な涙が浮かぶ。
恐らくまだ序盤中の序盤なのに、既に身体も頭もいっぱいいっぱい。くたりとシーツに身体を預けていると、胸にあった桜佑の手が、今度はお腹を伝って下へとおりた。
「こんな可愛い伊織を前にして、最後までしなかったアイツの気がしれねえわ」
ぽつりと呟かれた言葉を聞き取る余裕なんてなかった。桜佑の指先が、ショーツの上をそっとなぞったから。
自分で触れなくたって分かる。下着が意味をなしていないほど、そこが十分に潤っていることくらい。
「案外アイツが下手くそ過ぎて、お前のこの可愛い声も、感じてる顔も見れなかっただけなのかもな」
ショーツを剥ぎ取られ、愛液を絡め取りながら割れ目をなぞられる。時折一番敏感な部分に指先が触れると、その度にぴくんと身体が震えた。
「それ…なんかやだ…」
じわじわと押し寄せてくる波が、段々強くなるのが分かる。でも、気持ちいいのにどこか物足りない。敏感な部分に、たまにしか触れてくれないからか、身体がもっと強い刺激を求めてうずうずしている。
「…ぉ、すけ…っ」
「あーもう、なんて顔してんだよ」
私、いまどんな顔してる?変じゃない?
表情を作る余裕なんて、1ミリも残っていないのに。
「そんな目で見られたら、こっちが我慢出来なくなるんだけど」
そう放たれた直後、突如襲ってきた快感に、体を弓なりに反らせた。
何の前触れもなく私の中に押し入ってきた指が、躊躇なく刺激する。
「…あっ…やっ、んんっ」
さっきより高い声が部屋に響いて、思わず羞恥を覚えた。
──私、こんな声出せたんだ。
自分でも聞いたことのないような甘い声が零れ落ちる。時折聞こえる卑猥な水音のせいで、余計に気持ちが高ぶってしまう。
「やっぱ、お前の女らしい部分を知ってんのは俺だけでいいんだって」
「…は、あっ…」
「他のやつに見せたくねえもん」
もうだめ。頭がおかしくなりそう。