☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~
 「俺がSを見つけた時は多分まだ誰も奴らの存在を知らなかったと思う。
その頃俺は企業なんかのホームページを作る仕事をしてたんだ。
色んな素材や参考になる様なサイトを探してあちこちサーフィンしてたら、まだ形にもなってない変なページに辿り着いてさ。
セキュリティーもスカスカで置かれてるファイルなんかタイトルも直さずにアップされたまんまただ並んでるだけ、みたいな。
普通ホームページってオフラインである程度形を作ってからアップするじゃん?
多分ドシロウトが訳わかんないまま開設しちゃったんだろうと思ってさイタズラ心でファイルとか触ってやろうと覗いた瞬間、Sのあの音がスピーカーからドカーン!
みたいな……」
 
 涼太は両手を音に見立てて迫ってくるゼスチャーをして、のけぞってみせた。
 
 あたしは無言で続きを促した。



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