☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~
「少なくとも、あの音があんな出来損ないのサイトで放置されてるってことに我慢できなかった気持はわかるだろ?
綺麗事言うわけじゃないけど、純粋に放っておけなかった。
あの音を然(しか)るべき場所に解き放ちたかったんだ。
っていうか、まだその最中なんだけど・・・
俺には確信があるんだ。
Sは世界を獲るよ。
Sの様な濃度を持った音楽はアンダーグラウンドな世界でこそ輝けるってイメージあるだろうけど、時代は変わったんだ。
今はコネや予算がなくてもやり方次第じゃ世界中に音楽を配信できる。
あの音は世界に響き渡らせなきゃいけないんだ。
アンダーグラウンドの音楽が日本のヒットチャート音楽にセールス的に勝つには世界を獲るしかない。
俺はやっぱり作品のクオリティーとビジネス的な数字は比例すべきだと思う。
そろそろこの国からそういうアーティストが出てもいい頃だ」

 涼太は急に我に返ったらしく、気まずそうに少し顔を赤らめた。

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